全く消化できていなかった問題児。だったんだけど、園さんの「非道に生きる」を読んで、やっとこさ血肉にできそうなのでメモ。若干のネタバレはあるのでご注意ください。

この作品自体は去年に「地獄でなぜ悪い」を観た後あたりからずっと観たいなと思ってて、観たのも数ヶ月前のこと。Hulu にも近くの TSUTAYA にもなかったので、深夜、その近くの TSUTAYA に行って「取り寄せてください」って頼んだんだけど、店員さんからしたらちょっとこわかっただろうな。。ごめんなさい。


はじめに

いろんなレビューを読んでると、「意味を求めてはいけない」「意味がわからなくて正解」というものがちらほらある。園さん自身も ここ

映画は謎でいい。解き明かしても訳のわからない、謎でいい。

と言っちゃってるので、それは然りであって、自殺そのものや園さんの映画のつくり方(「自殺サークル」に限らず)にフォーカスした場合は自分もそうだと思う。が、この作品はそれで終わらせていいものでもないと思うので以下に続きます、という感じ。


あなたはあなたの関係者ですか?


これが、作中で最も強烈に頭に焼きついたフレーズ。かつ、園さんがこの映画に込めた最大のメッセージだと認識している。

作中では、以下のような一節の締めくくりとして用いられている。語り手と語られるシーンも把握しないと意味はわかりにくいと思うので、以下を読んで何か感じた人は実際に映画を観てみるとよいのではないかなと。なかなか人に薦められる類の映画ではないけれど、強烈な表現の数々も手段だととらえれば、ふつうにおもしろいと思う。血がダメな人は無理かもだけど。。

あなたとあなたの関係は、わかりますか?
あなたとわたしの関係は、わかります
あなたとあなたの奥さんとの関係、わかります
あなたとあなたのお子さんとの関係、わかります
では、あなたとあなたの関係は?
今、あなたが死んでも、あなたと関係ありますか?
今、あなたが死んでも、あなたとあなたの奥さんとの関係は消えません
あなたとあなたのお子さんとの関係も消えません
今、あなたが死んで、あなたとあなたの関係は消えますか?
あなたは生き残りますか?
あなたはあなたの関係者ですか?

作品の中でこの一節が語られたときに感じた怖ろしさと不気味さはホントに強烈だった。勝手に手が震え出す(人生初)くらい視覚的に過激な自殺シーンの数々を超えていたと思う。映画を観るときは映画に没入したいので、再生を途中で止めることは基本しないのだけれど、このシーンだけは巻き戻して5回くらい聴き直した。それくらい衝撃的だった。

で、この一節の意味が頭にひっかかったまま数ヶ月が経過。そろそろケリつけねばと思って読んだ「非道に生きる」の中で、この言葉について以下のようにきちんと書かれていたので、やっと咀嚼できた。

とにかく自分を疑わないこと。面白いと思ったことを断念しない。自分を信用しない自分なんて、哀しすぎる。『自殺サークル』という映画で「あなたは、あなたの関係者ですか」という謎のメッセージを描きましたが、まさにそれです。自分が自分のより良き理解者であること。でないと、自分は自分と無関係になってしまいます。

「非道に生きる」を読んでわかったけど、園さんは

他の人と同じ考え方をするために生きるのなら、生まれてこなくてもよかったとさえ思います。

って言い切って、自分の人生を糧にして、燃料にして、自分が面白いと思ったものを追求し続けてきた(し続けている)ような人。で、そういう生き方(これを指して「非道」と表現している)にしか価値がないと考えている。そんな園さんからしたら、ほとんどの人は「本人であることを放棄している」ように見えてしまうんだろうなあと。そのとき湧き上がる感情を、加工せずにそのままぶちまけたのがこの作品なんだろうなあと。

その感情そのものがメッセージなんだと認識して受け止めることで、自分のもやもやは少し晴れた。

こうなってくると、作品の中の重要なポイントで出てくる以下のフレーズの咀嚼も捗った。

勝手に生きろ

デザートを介して伝えられる、作品からの最後のメッセージ。言い換えるなら「自分が自分の関係者であれ」という感じなのかなと思う。本のタイトルにもなっている「非道に生きる」とも同義なんだろうなと。そう考えると、クライマックスに起こるはずであった自殺が、このメッセージによって不発に終わったのも腑に落ちる。

雨が乾くと雲になる 雲が濡れると雨になる

作品のかなり終盤で子ども達がミツコに言い放ったフレーズ。正直これは今でもよくわかんないけど、「雨」と「雲」が、自分の中にいる「本能的・個人的な自分」と「理性的・社会的な自分」あたりを比喩しているのかなと思ったりはした。「雨」も「雲」も「水」であることには変わりないんだけど、どちらにでもなり得るんだよっていう可能性を示唆することによって、観客に向けて「で、お前はどうなの?」って問いかけているような感じ。このシーンでミツコがわけもわからず舞台の上に立たされていたのも、観客の代役としてこのフレーズを投げかけられているのだということを強調するためなのかなと思う。


まとめ

  • 勝手に生きよう


最後に

「非道に生きる」、園さんの映画を何本か観た後に読むと、だいぶ霧が晴れるのでオススメです。園さんが、自分の人生を表現してるっていうのが伝わってくる感じです。

ちなみに、「自殺サークル」を撮ったとき、園さんは40歳。「自転車吐息」や「東京ガガガ」を経て、アメリカでのホームレス同然の極貧生活を経て、日本に帰ってきた40歳が最初に撮った「撮りたい映画」がこの「自殺サークル」。そして、ここから「愛のむきだし」や「冷たい熱帯魚」などなどに繋がっていったと考えるとぐっとくるものがある。学んでいきたい。